私はちょっと変わった料理教室講師かもしれません。
「~料理が得意です」と言う代わりに「食材や調理器具と波動を合わせるのが得意です!」と言っているのですから。
そんな私のレッスン指針は「私を見ていてくださいね」。
これは、開講当初から変わっていません。
それなので、料理が上手になりたい皆様の「どうやったら?」の回答は、「私を見ていてくださいね」なのです。
では、料理教室講師である私の何を見ていただくのでしょう?
講師の調理スキルを見ることは大切ですが、私のレッスンにおいてはそれだけではありません。
視覚で得たもの(=調理スキル)は情報として記憶に残ることでしょうが、情報以外の何かも、あなたの心に焼き付けて欲しいと願っています。
脳に焼き付くのと心に焼き付くのは、ちょっと違います。記憶だけにとどまるか(=脳)、それとも気づかぬうちにしみじみと沁みるのか(=心)・・・
しみじみ沁みたものは、ある日、突然、光が射すように心に響くものです。沁み始めたその時はなんとも感じなくても、あなたが必要とした時突然感じるものです。これは、体験することでご理解いただけることでしょう。
味の評価はもちろんですが、「美味しい料理」として味覚以外のところで味わっていただけるのであれば、それは、私の悦びです。
私は、調理の際、食材と調理器具を慈しみ、愛情をかけて扱います。そうやって触られた食材は、生き生きとしたものに変わって、堂々とした様子でお皿の上に盛り付けられます。
このような料理こそが、心で味わえるものなのだと思っています。
例えば、上記の写真の料理。
たくさんの食材を使い、仕上げるために何段階もの調理を重ねていますが、私にとってこのお皿の主役は食べられない海老の頭なのです。この堂々とした海老の様子をご覧ください。
「どうぞ私を美味しくお召し上がりください」と言っているように見えませんか?
それは、私がこの海老に愛情を注ぎながら調理したからなのです。白ワインや香味野菜入りの海老のお風呂を用意し、適温でそこに浸かわせてから一尾一尾の顔を見て話しかけます。お皿に乗る時の様子を話すのです。「あなたは、あとで私が可愛くしてあげるね」と。
①料理教室を始めたきっかけ
さて、では、ここで、私がどのような流れで料理を教える仕事をすることになったのかをお話したいと思います。
まずは、料理教室を始めたきっかけから。
20数年間の専業主婦時代を経て、2008年からワイン会を主宰することになり、会の料理を担当。それまでは、家族に作る料理(いわゆる家庭料理)しか作ったことがなかった私が、おもてなし料理に挑戦したのです。
おもてなし料理のレシピ本を三冊買い求め、作ったことのない料理を一生懸命作ってもてなしたところ、皆さんに褒められ、それが私の活力となり、料理人の道へ徐々に進みます。
レシピが増えていき、SNSで料理写真を投稿していたところ、「料理教室をやってみたら?」と勧められました。
ただの「料理好き」が料理をお教えすることは勇気がいりましたが、「えいや!」と始めたところ、水を得た魚のように波に乗ってレッスン回数が増えていきました。
②感情で作る料理と理性で作る料理
教室を開講して一年後、仕事でマレーシアに出向くことに。
旅先で重い感染症を患った時に、私の中で変化が起こりました。次のステップに進むべきと確信し、「教える立場であれば、現場に出るべき」と思ったのです。
外国語を学ぶ時、学校に行ったり、教科書を読むよりも、外国に住む方が言語上達が早いのと同じように、料理の学校に行くよりも飲食店の厨房に入る方が勉強になると思ったのです。
厨房の仕事は、「理性で作る料理」と区分けしています。わかりやすく言えば、自分の感性で作るのではなくレシピに忠実に正しい調理法で作ることです。
私は、感性で作る料理は得意でしたが、理性で作る料理は苦手でした。それなので、そこを補うために飲食店の厨房に入ることになりました。料理を教える仕事に真剣に向き合う決心でもありました。
ところが、意外にも理性で作る料理は難しく、何度も自信を失い、職場を去りたくなったりしました。でも、新しい発見のワクワク感が勝り、現在も続けています。
今年は、向上心からイタリアローマのリストランテに短期で研修に入り、さらにハワイのレストランにも研修に入りました。教える立場の人間は、常に上を目指す努力は欠かせないと思っています。
私の講師としての強みは、専業主婦であった経験、厨房に入っている経験が生かされたレッスンができるということです。
家で料理をする人の気持ちもプロの料理人の気持ちもわかるので、その両方の立場を考えた上でお教えすることができます。
そして、何よりも… 私は料理が大好きなのです。これが一番の強みかもしれません。
厨房仕事が辛くても、新鮮で素晴らしい食材を手にした途端に元気が出ますし、家で12時間キッチンに立っていても全く平気です。料理に集中できる環境が幸せに感じるくらいです。
そんな日は、朝からオーブンが稼働しっぱなしで、自分のご飯を温めることもできないくらいです。それでも料理が楽しくて歌ったり踊ったりもします。
そんな私のレッスンを受けられた皆様のほとんどが、「料理欲が湧いた」と言ってくださいます。
それは、私にとって何よりもうれしい賛辞です。私が調理している姿から放出される幸せエネルギーが伝染している証拠なのですから。
私は、誰かのために料理している時が幸せなのです。それが自然に伝わるのであれば、私は料理教室をやっている意義があると言えます。
「どうやったら料理上手になれるのか」
それは、私を見ていてください。レッスンにいらしてください。料理が好きになります。すでに好きな方はもっと好きになります!
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